印象に残ったコンテンツ2023 1月

満州事変と政党政治 川田稔

政党政治の終焉と軍部の台頭の流れがかなり整理されていて分かりやすかった。

・軍部は嫌なことがあるとすぐに陸軍大臣出すのイヤイヤ期になるのが最悪だと思った。

永田鉄山惨殺事件で有名な永田鉄山の暗躍っぷり及び唐突の死を見ていると今の世界線永田鉄山が首相になる前に暗殺され、改変されたものではないか、という気がしてくる。

 

町かどの穴 R・A・ラファティ

ラファティの短編は初めて読んだけれどもかなり良かった。

・この人、SFの人というカテゴリでとらえるよりもジョイスベケットフラン・オブライエンに連なるアイルランド作家、として読んだほうがいい気がする。

・とくにフラン・オブライエンはだいぶ似ているところがあると思う。

・作品に対する不満ではないがそれはそれとして500ページを超える短編集は短編集の良さであるフットワークの軽さを殺しているのであまり好きではないな、とも思った。

 

日本の伝統 岡本太郎

・ミーハーなのでタローマンから入って読みました。

芸術は爆発だ!なイメージに反して凄い理路整然とした内容であった。

・古典を既に評価の高い確立された権威ではなく、その時代のモダンアートとして捉え、批評するというスタンスで書かれていて岡本太郎すげえ、の気持ちになった。

カルヴィーノの古典とはなにか?を想起させる名著。

 

笑犬楼VS.偽伯爵 筒井康隆/蓮見重彦

・私は大江さんに嫌われているから、と零す蓮見重彦萌え。

・実は筒井さんの小説で一番好きなのは時をかける少女なんですよ、と言い出す蓮見重彦萌え。

・それ以外の内容については面白いと思いながら読んだけどそれはそれとしてここで言及するとあまり内容を理解しないで読んでいるということがばれそうなので無言及で行きます。

・そのうちこのブログの記事で蓮見重彦萌えシーン集を書くつもりである。

 

地図と拳 小川哲

ラストエンペラーの主人公が紫禁城であったようにこの小説の主人公は満洲そのものであると思う。

義和団事件から始まり満洲国崩壊までの歴史を通して、そこに携わる人々の視点を通して満洲という主人公について語っている。

 

映画

フォンターナ広場 イタリアの陰謀

・やっぱ地中海の監督のポリティカルフィクションは相性がいいわ、と再確認した。

・グラディオ作戦、ドン引き

 

小さき勇者たち~ガメラ

・昭和ガメラのスタイルで描かれたガメラ三部作の返歌だと解釈した。

・三部作通して自己犠牲的な傾向が強かったガメラに子供の口から「自分を犠牲にしないで」と言わせる、ということがやりたかった映画だと思う。

・この映画だとガメラのサイズが小型に設定されていて、そこから逆算して作られた画作りもなかなか見ないものがあって良かった。

ジュブナイルパートの出来はかなり良かったがその反面大人パートのリアリティラインは混乱している所が多々見られたかな

 

コロンバス

・現代建築最高~~~~~~

小津安二郎風の撮影で現代建築の映画を撮る、というアイディアの時点で勝ちだと思う。

 

漫画

大奥 よしながふみ

・大奥という機構のシステマティックっぷりとそれにひき潰される人々の話。こういう歴史漫画が読みたかった。

・これに関してはどこかで記事一本書きたい。

 

まちカドまぞく 伊藤いづも

・マジで凄い漫画、これも考えがまとまったら記事を書きたい